テーマ 88 部下育成には、基本的心理を踏まえた気遣いが必要
■小さな達成感の積み重ねが大きな意欲となる
『ジョン・C・マクスウェル 渡邊美樹訳
「人を動かす人」になるために知っておくべきこと』
という本の中に下記のような記述があります。
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マサチューセッツ州の
スプリングフィールド・カレッジがこんな実験を行いました。
子どもたちは、ある人物の絵をできるだけ
細かく描くように言われました。
さらに、描き終えると他の人の絵を描くように指示されました。
ただし、2度目は、1度目よりもうまく描くように
という指示がつけられました。
さらに、子どもたちが2枚目を描き終わると
「次の人を、前よりもっとうまく描くように」
という素っ気ない指示が繰り返されました。
ほめることも感想を述べることもせず、
ひたすら「前よりうまく」という指示つきで、
次から次へと絵を描かせたのです。
どうなったかというと、子どもたちの絵は、指示とは逆に、
描けば描くほど下手になっていきました。
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上記のような状況は、意外と職場のなかで見かけられる状況です。
上司の方が、部下の方に仕事を与え、その仕事が終わると、
給与をもらっているのだから、行ってあたりまえという感じで、
ただ、部下の方の行った仕事を受け取り、
また、仕事の指示を出すという状況です。
場合によっては、部下の方が仕事が終わって
上司に仕事を持っていくたびに、
小言だけを言われるという状況もあります。
このような状況では、
部下の方のモチベーションが上がるはずはなく、
いずれ退社していくという状況になります。
スプリングフィールド・カレッジでの実験のように、
大人でも子供でも、行ったことに対して、
人は認められたい、ほめられたいという
気持ちを生まれながらに持っています。
部下の方の将来を考えるのであれば、
部下の方には、仕事の目標を与え行わせ、
そして、行った行動自体や結果に対して、
ほめて上げることが必要です。
部下の方にとっては、
仕事での小さな達成感の積み重ねや
管理職者の方の日々のほめ言葉の積み重ねが、
大きな意欲となります。
■上司の方の本気さが部下との信頼関係を築く
部下の方は、いい仕事をしたい、仕事を通じて成長したい、
会社に貢献したいと思っております。
部下の方と会話をするときは、
部下の方のこのような気持ちを
常に念頭に置いておくことが重要です。
例えば、仕事を教える際も、
最終的な仕事のやり方だけを教えるのではなく、
そこに行きつくまで、どのような苦労をしたのか、
どのような失敗をしたのかなどを
教えて上げないと真の意味で、
仕事を教えたことになりません。
時間は、掛かってもその仕事の本質的なことを
一つひとつ教えて上げることが重要です。
このような教え方をしていると、
仕事を覚えてほしい、仕事ができるようになってほしい、
という、上司の本気さが伝わり、
部下の方との信頼関係が構築できます。
これを行わないで、似たような仕事が来た時に、
部下ができないと、前回と同じような仕事だろう、
何故できないんだという会話になってしまい
部下の方の信頼を失うことになります。
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